こんにちは。大阪市中央区谷町六丁目にあります、ヤマシタ整骨院院長の山下です。
今回は、肩こりに対する注射のあれこれ(主にブロック注射)について書いております。
肩こりがあり、これから整形外科やペインクリニックでの注射を検討されている方のご参考になれば幸いです。お時間のある時に、ぜひ最後までお読みくださいませ。
肩こりに注射 どんな種類があってそれぞれの効果は
肩こりに対する注射の種類
ブロック注射・・・痛みの原因となっている神経やその周囲に麻酔剤やステロイド(炎症を抑える薬)を注射します。効果は下記で説明しております。
トリガーポイント注射・・・トリガーポイントと言われる押されると深部にまで響くピンポイントに、皮膚から1cmくらいまでのところに麻酔薬を注射します。皮膚のすぐ下への注射なので、神経痛への効果は期待薄です。
筋膜リリース注射・・・トリガーポイント注射と似ていますが、筋膜リリースは超音波(エコー)画像で針先を確認しながら、該当する筋膜に微量の麻酔薬が含まれた生理食塩水を注射します。いわゆる筋膜はがしで、筋肉と筋膜との癒着が起こっている箇所に生理食塩水を入れることで、癒着を取り除いていきます。
ボトックス注射・・・おでこのシワ取りのイメージがあるかもしれせんが、肩こりにも使用します。筋肉の緊張を和らげたり、痛みを感じる物質を抑える効果があるボトックスを痛みのある箇所に注射します。
ブロック注射の効果と本来の目的
ブロック注射は麻酔で痛みを感じなくさせるだけでしょ、と思われている方が多いかもしれません。それだと、麻酔が切れるとまた元どおりだし極端に言えば肩こりがある限り永遠に行わなければならないですよね。
しかし、ブロック注射を行う真の目的はそうではありません。自律神経のうち血管を収縮させる働きのある交感神経をブロックすることで血管を広げ、血流を良くすることが目的です。
痛みや損傷した組織を回復させるのに血流の改善は必須です。ブロック注射は麻酔薬やステロイドによって痛みを抑えたり和らげたりするとともに、血流の改善を真の目的としているのです。
ブロック注射が効かなかったという人がいるのはなぜ?
ブロック注射を行うことで、痛みを抑えつつ血流を良くしていくのであれば回数を重ねるごとに肩こりは改善していくはずなのに、中にはブロック注射が効かなかったという方もおられます。
もしかすると、実際に過去にブロック注射を受けられてそのような経験をされている方がおられるのではないでしょうか。
当院にもこれまでに、「肩こりや首のこりでブロック注射を受けたけど良くなりませんでした」という患者さまが相当数いらっしゃったのは事実です。
では、なぜブロック注射を受けて効く方とそうでない方がおられるのでしょう。
効果がみられない場合に考えられる3つの要因
・注射を打ったポイントが狙ったところとズレている
・狙ったポイントが肩こりやしびれの原因となっている箇所ではなかった
・打ったポイントに老化等による変形がある(※変形が高度な場合は禁忌)
ブロック注射を受けられて効果が出なかった方は上記3つの要因のいずれかに当てはまっていたのではないかと推測できます。
美容外科で注射を打ったあとに1週間痛みが続いた20代女性
肩に注射を打ったら余計に痛くなってしまい
肩こりにお困りで受診された20代女性患者さまのSさん。谷町六丁目にお住まいで、ネットで当院を見つけていただきご連絡くださいました。
初診の問診時に詳しくお話を伺いました。Sさんが今回当院に来られたのは、肩こりというより肩の痛みにお困りとのことでした。
肩の痛みと言っても、肩こりがひどくなって痛いのではなく、肩に注射を打ったあとに筋肉痛のひどいバージョンのような痛みが続いているとのことでした。
そこで、注射について伺うと、当院に来られる1週間ほど前に美容外科で肩のボトックス注射を受けられたそうです。ボトックス注射は友人の勧めで、打つと肩こりが楽になるしデコルテがスッキリすると言われて受けてみることにされたそうです。
そして、勧めてくれてた友人が受診した美容外科でSさんも肩にボトックス注射を打ってもらいました。すると、翌日から肩の筋肉が痛くなったとのことでした。痛み的にはめちゃくちゃすごい筋肉痛くらいだと表現されていました。とにかく、すごく痛いということは伝わってきました。
美容外科からは一時的に痛くなる可能性はあると聞かされていたそうで、1〜2日間は経てば楽になってくるのかなと思っておられたそうです。しかし、そうはならなかったし美容外科に伝えることもなんとなくしにくいということもあったようで、当院にご相談いただいたという流れです。
20代前半からの肩こり 長時間労働で増大
そもそもSさんの肩こりは20代前半からで、20代後半になった今では以前よりもひどくなっているように感じておられるとのことです。お仕事は主にデスクワークをされており、残業をすることも多いようで、毎日の長時間労働も肩こりを増大させている要因だというのはご本人も自覚されていました。
そんなSさん、以前は忙しい合間を縫ってヨガに行かれていたそうです。運動不足と肩こりの解消を目的に通われていたそうですが、その時も肩こりが楽になった感じはしなかったそうです。結局、仕事の加減であまり行けないのと、ヨガのスタジオ自体が移転して行きにくい場所になってしまったこともありやめてしまわれたようです。
そういったこともあり、ボトックス注射を打ったわけですが、注射後にすごく痛くなってしまった原因は正直わからないということはSさんにお伝えしました。施術した医師の腕なのか、打った箇所が多すぎたのか、深く刺しすぎたのか、ボトックスが合わなかったのか、本当にわかりません。
体のねじれを正さないと注射を打っても効果なし?
わからないものを求め続けても仕方ないということで、とにかくSさんのお体の状態をチェックしていくことに。そうすると、一番気になったのは体のねじれです。
筋肉の硬さの左右差や肩の関節や首の動きの悪さもさる事ながら、それらがあるのも体のねじれからでした。
ボトックス注射や他の注射(ブロック注射やトリガーポイント注射)を行いそれらがもし効いて楽になったとしても、ねじれ自体を正していかないとまた元に戻ってしまうと思われます。
その辺りのことも含め、施術の方針や内容などをご説明させていただき、施術を進めていきました。
体のねじれを本当に極端に例えるなら、タオルでも雑巾でもいいですがそれらをしぼったような状態です。筋肉や背骨が雑巾のようにねじられているのが良くないというのはなんとなくイメージしていただけるかと思います。
そのねじれを整体を施すことで、筋肉にかかっていた余計なテンションやストレスを取り除き、本来の正しい姿勢へと導いていきます。少しずつ良い状態へと近づけ、それが定着していくとだんだんと肩こりも改善されていくことでしょう。
最初に訴えられていた筋肉痛のひどいバージョンの痛みは2回の施術で取れ、その後は治療計画通りに進めていき、ねじれがかなり無くなってきています。それに伴いSさんの肩こりの自覚症状も徐々に和らいできているようで一安心です。
しかし、今もなお残業も多く激務をこなされているので、油断せずに二人三脚でさらなる改善に向けて取り組んでいきたいと思います。
肩こりにブロック注射 副作用はある?
ブロック注射の副作用とは
注射に限らずどんな飲み薬でも少なからず副作用があるわけですが、ブロック注射に関してはどのような副作用があるのでしょうか。
神経をブロックする注射と聞くと、麻酔剤も強力そうでその分副作用も強そうに思われるかもしれませんが、以外とそんなことはありません。
麻酔剤の副作用よりも、体の奥深くに針を刺すのでその行為により神経や筋肉・靭帯、血管などの各組織を傷つけてしまうリスクのほうが高いと言えます。ですが、これに関しては当然プロが行うことですから重篤な状況になることはまずありません。
人によっては注射を打ったあとに痛みやしびれが強くなったり、筋力が一時的に低下することもあるようです。ですが、それも数時間で回復するので問題はありません。
インフルエンザの予防接種の場合でも打ったあと、数十分ほど病院で安静にさせられたりしますよね。ブロック注射も同じで、注射後の経過を見つつ大丈夫だと判断されれば帰宅のGOサインが出るので安心です。
トリガーポイント、筋膜リリース、ボトックス注射の副作用も筋肉内に針を刺すことで刺した部分が赤くなる、腫れる、内出血、熱を持つ、等の症状がみられることがあります。
ブロック注射が効かない場合の対処法
ブロック注射1回で痛みやしびれがスパッと取れる方がいらっしゃる一方、数回継続して打っても効かない方もおられます。こればかりは、先生の経験値や腕の良し悪しもあるでしょうし、極端に言ってしまえば運頼みの側面もあるように思います。
整形外科やペインクリニック側としてもある程度の回数を実施しても効果がみられない場合は、それ以上闇雲に継続することはされないはずです。
では、その後はどうすればいいのかという話になってくるかと思います。注射が効かない場合の選択肢としては、整形外科で理学療法士によるリハビリ、整骨院や鍼灸院、整体院で施術を受ける、これらのいずれかがいいのではなでしょうか。
最後に
いかがだったでしょうか。針を肩の筋肉の奥深くに刺されて効果がなかったらとてもつらいですが、その可能性もあるのがブロック注射です。
ブロック注射だけに言えることではありませんが、ブロック注射をするとどんな方の肩こりやしびれも絶対に取れるのであれば、肩こり患者さまは全員ペインクリニックに行けばいいというお話になりますが、そうではないですよね。
そういったことも念頭に置きつつ、注射を受けられて効果がなければ他の選択肢を考えてみてください。
もちろん当院でも肩こりや腕のしびれの施術を行なっておりますので、もし注射が効かずにどうすればいいのかお困りの場合は一度ご連絡くださいませ。
(監修:柔道整復師 山下 暢士)
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