こんにちは。大阪市中央区谷町六丁目にあります、ヤマシタ整骨院院長の山下です。
今回は湿布のあれこれについてまとめてみました。
コリや筋肉に痛みがあるときに、湿布を貼る方もおられるかと思います。また、実際に肩こりに湿布が効果的なのか疑問に思われている方はぜひ最後までご覧くださいませ。
肩こりに湿布を貼るなら冷感と温感どっちがいい?
そもそも湿布とは?
湿った布と書いてシップ。患部に貼ることで痛みや腫れを和らげる作用があります。その昔はハッカ油や香料、グリセリンなどを混ぜた薬剤を、その名の通り布に塗りのばしたものを患部に当てて包帯で巻いて固定する、といったものでした。
湿布には薄手のものと厚手の2種類があります。
薄い方はプラスター剤、厚手の方をパップ剤と言います。パップ剤は水分を含んでいますが、プラスター剤に水分は含まれていません。温湿布、冷湿布の種類があるのは水分を含んでいるパップ剤となります。
どちらの湿布も貼ることで炎症や痛みをしずめる作用があります。最近は、非ステロイド性の抗炎症薬を使用しているものがほとんどです。非ステロイド抗炎症薬は、抗炎症作用、鎮痛作用、解熱作用があり、非ステロイド(ステロイドではない)ということで貼り薬である湿布においては副作用がほぼないと言えます。
冷感と温感 それぞれの特徴
冷感湿布には冷たく感じさせる成分が入っています。メントールやハッカ油、カンフルが配合されており、急なケガで熱感や腫れ、痛みがある場合の使用に適しています。
温感湿布にはトウガラシエキスが使用されているので、貼ると温かく感じます。温湿布は、腰や肩の慢性症状や関節炎などの使用に適しています。
ただし、冷感、温感ともに本当に冷やしたり温める場合は、他の手段を使うようにしましょう。と言うのも、冷感、温感の字づらからもわかる通りメントールやハッカ、トウガラシ成分で表面的に冷たく感じたり、温かく感じているだけなのです。
なので、本当に冷やしたいのなら氷水に浸かったり氷嚢を使う、温めたいのならホットパックやカイロを使ったり、湯船に浸かるなどしてください。
肩こりに貼るのは温湿布
肩こりがつらくて薬局で湿布を買おうと思ったけど、温と冷のどちらを買えばいいのかわからないといった方がおられるかもしれませんね。
肩や首が急に痛くなるいわゆる寝違えやすじ違いの場合で、もし湿布を貼るのであれば冷感湿布がいいでしょう。
しかし、慢性的な肩こりの場合には温めて血行を良くすることが必要です。なので、日常的に肩こりにお悩みの方が湿布を貼るのであれば、温感湿布を貼るようにしてみてください。
ひどい肩こりで湿布を貼っても効果を感じられず来院された50代女性患者さま
職場、ご自宅ともに谷町六丁目
ひどい肩こりにお困りで来院された50代女性患者さまのYさん。職場、ご自宅ともに谷町六丁目のご近所です。徒歩で通院できるところを探されていたところ、当院を見つけていただきご連絡くださいました。
Yさんは輸入業の会社にお勤めで、業務のほとんどがデスクワークです。
初来院時、入ってこられた瞬間に気になったのは姿勢です。背中が丸く首が前に出ており、誰の目から見ても姿勢が悪い状態でした。
そんなYさんにまずやっていただくことは問診票へのご記入です。ご記入を終えられたら、次は診療室に入っていただき問診のスタートです。
中学生のころからの肩こりでお母さんにマッサージしてもらい
お話を伺うとYさんの肩こり、記憶を辿っていただくと中学生くらいからあったそうで、その頃はたびたびお母さんに肩がダルいとか痛いと訴えておられたとのこと。そうすると、お母さんは肩をもんだりさすったりしてくれたそうです。
高校、大学、社会人になってからも肩こりとはずっと付き合ってこられているとのことです。しかし、毎日常にひどいわけではなく波があり、そんなに気にならない時もあればすごくつらい時もあるそうです。それこそ、つらい時は背中、肩、首はもちろんのこと、頭まで痛くなってしまうそう。
また、中学からの変遷を伺うと、歳を重ねるごとにひどくなってきているように感じるとおっしゃっていました。それが、ここ最近は特に顕著で頭痛が起こる頻度も高くなっており、整骨院の受診を考えるきっかけになったそうです。
肩こりがひどい時はマッサージや整骨院に行く生活
では、これまでは肩こりがひどい時はどうされていたのかを伺いました。そうすると、大学生までは先述の通りお母さんのお手当、社会人になってからは最初の頃は、肩こりが相当ひどい時にだけマッサージに行っておられたそうです。その際は、1時間〜1時間半のコースで背中から上を重点的にやってもらっていたとのことです。
そして、30歳くらいからは整骨院にもちょこちょこと行かれていました。当時はお母さんと同居されていたYさんですが、そのお母さんが行かれていた整骨院にマッサージに行っていた時と同様に症状がひどく、耐えかねた時にだけ行かれていたそう。
その整骨院、行くと毎回同じ施述内容でまずは低周波の電気治療機を当て、その後にウォーターベッド(上むきで寝て水圧の力で体をほぐす機械)に寝て、その後にマッサージをしてくれるというのが一連の流れだったそうです。
そこに行くとすごく良くなるというわけではないけど、耐えがたいつらさはなくなるということで10年以上は行かれていたみたいです。しかし、その整骨院が閉院してしまったそうで、新たな整骨院を探されていたところ、当院を見つけていただきご連絡くださったというわけです。
手当たり次第に湿布を買い漁り
Yさんには以前に行かれていた整骨院で、もう一つトピックがあります。それが、湿布です。その整骨院では、行くたびに湿布をくれていたそうで、その湿布も耐えがたい症状を脱するのに一役買っていたのではとYさん的には思っておられたようです。
そういったこともあり、当院に来られるまでの間は薬局でいろんな湿布を買って貼っていたとのこと。お話を伺う限りでは、温湿布から冷湿布、薄手のプラスター剤まであらゆる種類の湿布を試されたみたいです。
しかし、どれを使っても耐えがたい症状はほぼ変わらなかったとのことでした。湿布によっては貼った直後はスースーして気持ちよく感じることはあっても実際症状は変わらなかったとのことです。
そんなYさんのお体をチェックさせたいただくと、先述した背中の丸さだけではなく上体のねじれ、それに伴って背骨を中心に左右の筋肉の緊張度合いにかなりの差があることがわかりました。
「湿布じゃどうにもならないわけだ」
血行が悪く筋肉が硬くなっているだけなら、もしかすると温湿布を貼ることで症状はマシになることもあるでしょう。しかし、Yさんのようにう前後左右に姿勢やバランスの悪さがあると、それ自体を戻さないことには肩こりは改善していきません。
そういったことをご説明させていただくと、「どうりで湿布じゃどうにもならないわけですね。」とご理解いただけた様子でした。
あわせて施術内容もお伝えし、施術を進めていきました。マッサージ以外は受けたことがないYさんですが、マッサージよりも安全かつ効果的な方法で行っていくことに。
施術前の姿勢をスマホで撮っていたので、施術後のご自身と見比べられた際、「えっ、1回でこんなに変わるんですか!」と大変驚かれていました。自覚症状に関しても、「背中や肩が軽くなりました。」と言っていただけよかったです。
Yさんの肩こりに関しては、背中の丸さやねじれを取っていけばマッサージで筋肉を無理にほぐさなくても良くなっていくことをお伝えしました。また、治療計画や日常生活上で気をつけていただきたいことなども併せてお伝えしました。
2回目以降もその通りに来院され、初来院から3ヶ月が過ぎるころには肩こりのレベルが最初10だったのが1くらいにまで下がっているとおっしゃっていただけました。
現在は定期的な姿勢のチェックを兼ねて月に一度来院されております。
肩こりに湿布 根本的な改善は期待できるのか
湿布を毎日貼っていればそのうち肩こりはなくなる!?
最初のパートで肩こりには温湿布を貼ると良いとお伝えしました。しかし、それはあくまで冷感湿布と温感湿布のどちらかというと温感の方がいいですよ、というお話となります。では、温感湿布を頑張って毎日貼ればそのうち肩こりはなくなるのでしょうか。
結論から申しますと、ほとんどの方はなくならないと思います。
というのも、そもそも湿布は対症療法となり、痛みや腫れなどの症状を和らげることを目的としています。とはいえ、中には湿布で肩こりが良くなったという方もおられるでしょう。そういった方は、肩こり初期だったり一時的になにかしらの要因によって筋肉が硬くなってしまった方などの場合だと考えられます。
そうではなく慢性的な肩こりの場合だと、湿布のみで改善させるというのは難しいでしょう。例えば、Yさんのように姿勢の問題がある場合、湿布を肩や首に貼ることで悪かった姿勢は良くなるでしょうか。他で言うと、心因性のストレスが原因で肩こりがひどくなっているとすると、湿布を貼ることでストレスはなくなるでしょうか。
どちらの場合も答えはお分かりの通り否、ですよね。
慢性肩こりの原因はいくつもの要因が複雑に絡まりあっていることが多々あります。根本的に改善させるためには絡まりあった糸を一本一本ほどいていくように、それらの要因を一つひとつ潰していかなければならないのです。
最後に
いかがだったでしょうか。なにも「湿布なんて絶対貼っちゃダメ!」と言っているわけではありません。ただ、毎日のように貼っているとお肌がかぶれてしまうことがあるかもしれませんが、湿布がお好きなのであればもちろん貼っていただいて結構です。
お貼りになる場合は、お伝えした通り温湿布にしておいてください。そして、お肌を適度に休ませながら貼るようにしましょう。
しかし、慢性的でつらい肩こりを本当にどうにかしたいのであれば、湿布だけではしんどいのが実際のところです。
湿布を貼らなくていいようにしたい、とお思いの方は信頼できる先生や治療院に相談されることをお勧めいたします。
(監修:柔道整復師 山下 暢士)
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