こんにちは。大阪市中央区谷町六丁目にあります、ヤマシタ整骨院院長の山下です。
今回は肩甲骨の内側が痛い、そんな場合の肩こりについて書いております。
同じような症状にお困りの方はぜひ最後までお読みくださいませ。
肩甲骨の内側が痛い!肩甲骨と肩こりの関係性
肩こりと肩甲骨は密接に関係しています
肩こりにお悩みの方の中には、首や肩の上部だけでなく肩甲骨周辺のコリ感が強かったり、痛みがある、という方もおられるのではないでしょうか。
実際に肩こりと肩甲骨は密接に関係しており、肩甲骨の動きを柔軟にすることが肩こり解消の鍵と言っても過言ではありません。
肩甲骨は体の背中側に位置しており、肩を構成する骨の一つで肩まわりのたくさんの筋肉が肩甲骨にくっ付いています。そういったこともあり、役割として腕を自由に動かすサポートをしています。
そんな肩甲骨ですが、どのような理由から肩こりと密接に関係しているのでしょうか。
意外かもしれませんが、肩甲骨はいろんな方向に動きます。図にある通り、本来は6種類の動きが可能なのですが、日常生活を送るうえで6種類全ての動きを頻繁に行うかというと、そうではありません。
もちろん生活スタイルや職種によってはたくさんの動きを行うこともあるでしょうが、逆にデスクワークの方であればお仕事中、肩甲骨の動きは極端に少ないのではないかと思います。
肩甲骨には肩まわりのたくさんの筋肉がくっ付いているとお話ししましたが、デスクワークの方のように肩甲骨を動かす機会が少なければ少ないほど肩甲骨周辺の筋肉の血流は悪くなってしまいます。
肩甲骨周辺の筋肉の血流が悪いということは、肩や首まわりの筋肉も血行不良になり背中から上が全体的にこっている状態となってしまうのです。
あなたの肩甲骨、動いていますか?
「肩こりはあるけれど、果たして私の肩甲骨は動いているのかな?」と気になっている方もおられるのではないでしょうか。
ご自身の肩甲骨の動きが良いのかそうでないのか、正確に把握されている方はそうそういらっしゃらないのではないかと思います。
なので、このパートでは実際に肩甲骨の動きのチェックを行なっていきましょう。
肩の上下運動
真っ直ぐに立った状態で、肩の上げ下げを10回行いましょう。この時、両腕は脱力し肩を目一杯上まで引きあげます。肩を下げる時はゆっくりおろすのではなくストンと一気に下ろしましょう。
10回をスムーズに行うことができればオッケーです。途中でツラくなったり、だんだんと動きが悪くなるようであれば肩甲骨の動きが良くないと言えるでしょう。
腕上げ
真っ直ぐに立った状態で、腕を90度上げます。手のひらを合わせ、肘は伸ばしたまま上がるところまで上げていきましょう。上げた腕が耳の横まで来ればオッケーです。真上まで上がらずに途中で固さを感じる場合は肩甲骨の動きが良くないです。
無理してあげようとして、勢いをつけたり腰が反ってしまわないようにゆっくりと上げていきましょう。
後方腕上げ
真っ直ぐ立った状態で、後ろ手を組み肘は伸ばしたままでどこまで上がるか試してください。この時、無理に上げようとして腰が曲がったりしないように体はまっすぐのまま行いましょう。
横から見て腕が45度くらいまで上がっていればオッケーです。
背面通し
壁を背にして立ちます。この時にかかと、お尻、背中が壁につくように立ってください。この状態から手の平が壁につくように片腕づつ腰と壁のすき間に入れてみてください。
スムーズに入れられればいいのですが、奥まで行かずに固さを感じたり肩が大きく前へ出てしまう場合は動きが良くないでしょう。
上記の4つの動きを試していただき、全てで問題ないのに肩こりがある場合は肩甲骨以外の要因があると思われます。
4つ全てで動きが悪い、もしくは1つでもスムーズにいかないものがあれば肩甲骨が原因で肩こりになっていることが考えられます。
肩甲骨の動きが悪くて腕まで上がりにくい40代女性
だんだんとキツくなっていった肩こり
ひどい肩こりにお悩みで受診された40代の女性患者さまのMさん。患者さまのご紹介で来院されました。
Mさんは大学卒業後に入った会社一筋で、新卒当初から事務方で仕事のほとんどはデスクワークです。肩こりは30前くらいからだんだんとキツくなっていったらしく、以前はマッサージやストレッチのお店に行かれていたそうです。
30代の頃はキツいと言っても今ほどではなく、疲れが溜まって肩こりがしんどくなった時にマッサージやストレッチに行く程度だったMさんが初めて整骨院に来られたのには訳があります。
それは、こり感や痛みの範囲が広くなっていることに加え腕が上がりにくくなったためです。
腕が上がりにくいのは肩甲骨の動きが悪いから
以前は、肩の上部や首がこっているのみだったのに今は背中までこりの範囲が広がっているとのことでした。具体的に場所を伺うと肩甲骨の内側で、その部分に関しては痛みがあるということでした。
そして、実際に腕の動きを見てみると本当に上がっていませんでした。両腕を横から上げても前から上げてもしっかり上まであがらない状態でした。
Mさんは最初は四十肩を疑われたそうなんですが、上げた時に痛いのは肩の関節あたりではなく背中なので違うんだろうな、と思い直したとおっしゃっていました。
問診の後にお体を診させていただくと、肩甲骨が肋骨にべったりと張り付くような状態で極端に動きが悪かったのです。
少しだけ肩甲骨の動きチェックを行いましたが、行なったどの動作に於いてもかなりつらそうでした。
腕が自由に動かせるのは肩甲骨がスムーズに動いてこそ
腕の上げ下げのみならず、肩の関節のあらゆる動きは肩甲骨がスムーズに動いてこそ成り立つのです。なのに、肩甲骨が背中にべったりと張り付いているような状態だと腕が満足にあげられないのも無理はありません。
これまでマッサージやストレッチに行かれた時は結構強くやってもらっていたようなので、もしかするとそれも肩甲骨周りの筋肉を固くさせた要因かもしれません。そこまで行かれていた頻度は高くないにせよ、行かれる度に肩や背中周辺の筋肉が強い刺激によって傷つき徐々に固くなっていった可能性も考えられます。
いずれにせよ、Mさんの治療を進めるうえで重要なのは肩甲骨の動きの改善です。細かいところを言うと色々とありますが、とにかく肩甲骨の動きが良くなるように施術を重ねていきました。
負のスパイラルから抜け出し一気に改善へ
姿勢が崩れていたこともあり、姿勢の改善を行いつつ筋肉のバランスを整えることで少しずつですが肩甲骨周辺の筋肉がゆるんでいきました。そうなることで、これまでガチガチに固まって動かせていなかった肩甲骨が動くようになりだんだんと腕の動きも良くなっていきました。
ちょっとずつ動きが出てくることで、眠っていた肩甲骨まわりの筋肉に良い刺激が入り、そこからは負のスパイラルから一気に抜け出たように改善に向かっていきました。
お仕事中にも肩甲骨に関するちょっとしたセルフケアを取り入れていただいたりしながら、二人三脚で改善にむけて取り組んでいった結果、当初予定していたより少し時間はかかってしまいましたが肩甲骨内側の痛みはなくなり腕もスムーズにあげられるようになりました。
現在Mさんは、当院に定期的なメンテナンスに来られているだけではなく、体への意識が高まった結果、月に何度かピラティスに通われています。その甲斐あって、初診の頃とは比べものにならないくらい肩甲骨の動きが良くなっています。
やはり人間の体はほどよく動かさないと不具合が出てきてしまうものなのだと強く感じた次第です。
肩甲骨の内側が痛くなる原因
肩甲骨が外側に広がることで内側が痛くなります
肩甲骨の内側が痛くなる原因はいくつかありますが、これまで当院を受診された方々に多かったのが姿勢と筋肉に由来するものです。
まず、姿勢はわかりやすく猫背の場合です。猫背姿勢だと、肩甲骨は外側に広がった状態です。肩甲骨の位置が外側に固定されていると、肩甲骨の内側の筋肉が常に引っ張られることとなり、だんだんと硬くなりやがては痛みを伴うようになるのです。
筋肉に関してですが、一見姿勢は悪いように見えなくても、毎日の長時間のデスクワークやスマホの使用によって体の前側の筋肉が縮こまった状態で硬まってしまうと肩甲骨の内側が痛くなることがあります。
猫背の方にも同じことが言えますが、胸や鎖骨下部の筋肉、肋骨の横部分についている筋肉が硬く縮まることで肩甲骨を外側に引き寄せ、結果として肩甲骨の内側の筋肉を引っ張りやがて痛みが出るようになります。
なので、猫背じゃないのに肩甲骨の内側が痛い、という方は体の前側や横部分の筋肉が縮んでしまっている可能性があります。
姿勢と筋肉以外に肩甲骨の内側が痛くなる場合も
背中が痛いと心臓が悪いかも、みたいなお話を聞いたことがあるかもしれませんが肩甲骨の内側が痛い場合でももしかすると内臓の問題や何かしらの病気が原因で痛くなっていることも考えられます。
具体的にいくつか挙げますと、心筋梗塞や大動脈瘤、気胸や胆石などの病気によって肩甲骨の内側が痛くなる場合があります。
そのほかには、背骨や肋骨の関節に問題がある場合や肩甲骨の内側と少し離れた場所からの関連痛などで痛みを感じる場合もあります。
まとめ
いかがだったでしょうか。肩甲骨の内側の痛みの原因はなにも姿勢や筋肉に由来するものだけではありません。
筋肉が原因だと思って治療していても、実はなにかしらの病気が原因だったなんてことは避けたいですもんね。
そういった理由からも、しっかりと痛みを取り除き再発しない体を作るためにも信頼できる医療機関に診てもらうことをお勧めいたします。
(監修:柔道整復師 山下 暢士)
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